2024.02.15(木)

大学芋のシェア8割を誇る会社が、廃校でのお菓子製造に取り組むわけ

大学芋のシェア8割を誇る会社が、廃校でのお菓子製造に取り組むわけ

日本の食文化に欠かせないさつまいも。
その中でも、食品製造業界でひときわ輝く存在として知られる会社があります。

それは、白ハト食品工業株式会社です。

なんと、大学イモのシェア8割を誇るトップ企業としての地位を確立し、今もなお新たな挑戦に臨んでいます。
その挑戦とは、廃校を利用して菓子製造や農業体験型テーマパークの運営に取り組むというもの。廃校の再生から生まれる新たな菓子の可能性を追求し、地域社会との結びつきを強める彼らの取り組みに迫ります。
果たして、これから地域へどのようなイノベーションをもたらすのでしょうか?

「いもたこなんきん」食品メーカーとして地位を築く

今回お話をうかがったのは、株式会社なめがたしろはとファーム らぽっぽなめがたファーマーズヴィレッジ副支配人の金田さんです。

大学芋のシェア8割を誇る会社が、廃校でのお菓子製造に取り組むわけ

らぽっぽファームは現在全国に24店舗を展開しているほか、たこ焼き店『道頓堀くくる』では全国で54店舗の出店数を誇る。

金田さん
「初めは1947年に『白ハト印のアイスクリーム屋』として創業しました。しかしアイスクリームは夏場よく売れるものの冬はなかなか売れません。そこで冬の時期どうするかという課題を解決するため、さつまいもを使ったスイートポテトなどの製造を手掛けるようになったんです。

そして現在では、白ハトグループのブランド「らぽっぽファーム」として、芋のスイーツ専門店を全国に展開するようになりました。「アイスクリーム店から『いもたこなんきん』専門の食品メーカーになり、らぽっぽファームでは定番商品である『ポテトアップルパイ』などさつまいもスイーツを専門的に提供しています。」

また、白ハトグループは大学いもの一大製造事業者であるという顔も持っています。

金田さん
「白ハトグループは、大学いもの国内販売において約8割のシェアを持っています。大手コンビニやスーパー、回転寿司チェーン店などで幅広く取り扱われています。」

大学いも以外にも、白ハトグループが製造するさつまいものペーストやパウダーはとても多くのお菓子やスイーツに使用されており、さつまいもを原料とした加工商品において無くてはならない存在だと言えるでしょう。

大学芋のシェア8割を誇る会社が、廃校でのお菓子製造に取り組むわけ

農業テーマパークを手掛けるきっかけ

食品加工のみならず、さつまいもの栽培にも力を入れている白ハトグループ。直営と協働契約の農園を合わせて全国に6ヶ所の農園があり、合わせて約350haもの畑でさつまいもを栽培しているそうです。
そしてこの行方市では、「らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジ」という体験型農業テーマパーク事業も手掛けています。この行方市において事業を展開するまでには、どんなきっかけがあったのでしょうか。

金田さん
「大きなきっかけとなったのは、東日本大震災でした。元々宮崎にしか工場がなかったため、将来的なリスクヘッジを考えて工場を増やそうと考えていたタイミングで発生した震災は、行方市にも風評被害をもたらしたと聞いています。
代表の『風評被害を少しでも減らしたい』という想いから、まずはスカイツリーの屋上庭園で行方市の土を使いさつまいもを栽培する取り組みを行いました。そこで行方市と関係性が生まれ、様々な話し合いを重ねる中で我々と行方市、そしてJAが手を組んでここに施設を作り、子どもたちや働く方たちの笑顔を作りたいという構想が出来上がったんです」

大学芋のシェア8割を誇る会社が、廃校でのお菓子製造に取り組むわけ

このような背景で誕生した、「らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジ」。今や日本一の体験型農業テーマパークと言われるほど話題を集めています。元々は生産拠点を増やすという目的だったものが、お客様が集まる拠点という機能も加わることになるまでにはどのような背景があったのでしょうか。

大学芋のシェア8割を誇る会社が、廃校でのお菓子製造に取り組むわけ

金田さん
「らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジのポリシーは、『日本の農業をステキにしよう』というものです。私たちは日本一のさつまいも農業生産法人であるという自負があり、私たちが農業のイメージを変えることができれば、日本の農業のイメージはもっと素敵なものになるという考えから、農業の事を知るきっかけとなるテーマパーク事業に取り組んでいます」

白ハトグループの農業や地域に対する想いはとてもシンプルであり、その想いを実現するため徹底的に取り組んでいるという熱意が言葉の節々から感じられました。「らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジ」については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

大学芋のシェア8割を誇る会社が、廃校でのお菓子製造に取り組むわけ

行方市にもたらす効果

らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジの存在は、行方市において様々な効果をもたらしています。

金田さん
「この施設ができて良かったと地元の方から喜んでいただいている内容としては、やはりさつまいも農家さんからの規格外品の買い取りだと思います。大きすぎる、小さすぎるといった理由で今までJAさんで取り扱うことのできなかったさつまいもを、私たちは加工食品の原材料としてすべて買い取っています。農家さんの所得向上にも繋がりますが、私たちとしても原材料を地元で集めることができてとても助かっています」

大学芋のシェア8割を誇る会社が、廃校でのお菓子製造に取り組むわけ

地域の農業者にとって良きパートナーでありながら、ここでしか味わうことのできない体験を提供することで、この地域を、ひいては農業全体を盛り上げようという覚悟が伝わりました。
らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジではこの先、地域防災拠点としての役割の強化や耕作放棄地となっている田んぼの畑作化など、さらに地域に欠かせない存在となり得る様々な次の一手を考えているのだとか。今後の動きに目が離せません。