さつまいも博実行委員長石原氏が語る、旬ではない”夏”にさつまいも博を開催する理由
えっ?夏に開催!?「さつまいも博」ってどんなイベント?
2020年2月に初開催され、毎回数万人ものさつまいもファンが集結する「さつまいも博」。イベントのコンセプトや見どころ。そして夏開催の狙いについて、さつまいも博実行委員会の石原 健司さんに話を伺いました。
さつまいもの“旬”は秋じゃないことを伝えたい!
「当初は“日本さつまいもサミット”として、さつまいも生産者を賞賛するアワードでした」と石原さん。回数を重ねていくなかで、生産者だけでなく販売者や全国のさつまいもファンも楽しめるイベントへと変わり、焼き芋の日本一を決める“全国やきいもグランプリ”などが開催されるようになったそう。「今年のイベントのテーマは“可能性”なのですが、まずは、さつまいもの旬のイメージを変えたいです」と語る。さつまいもの“旬”というと秋をイメージしますが、収穫は秋であってもその後の熟成によって、でんぷんが糖に変わることで甘くなるため、9月や10月は旬ではないという。最近は貯蔵技術や冷凍技術が向上しているため、1年を通して甘くおいしいさつまいもを食べることができるのだという。「その上でさつまいもはカッコいい、かわいい、クールというイメージにしていきたいのです」と、さつまいもの未来を語る。今後の課題は後継者問題をはじめ、小規模農家では実現しにくい6次産業化(生産物の付加価値を高め、生産者の所得向上を目指すこと)だという。「このイベントを通して“さつまいも農家はクールでカッコいい”“さつまいも農家は儲かる”というイメージが広がっていけば、若手の就農を増やせるのではないでしょうか」
さつまいもの新しい組み合わせと可能性を追求!
「今回のイベントはさつまいもをスイーツとして楽しんでもらうことはもちろんですが、さつまいもの栄養価、健康、美など、おいしさ以外にも着目してもらいたいと考えています。
また、開催場所が都庁前のオフィス街ということもあり、“夜のさつまいも博”ではお酒も提供しています。出店者にもメニュー開発をしてもらい、お酒と組み合わせることでどんな化学反応が起きるのかみんなでチャレンジしています」と熱く語る石原さん。都会の真ん中で開催されるイベントということで、固定観念に捉われない可能性を追求したのだという。
寿司、ラーメンに並ぶ日本の食文化として世界へ!
「実は焼き芋は海外でも人気なのですが、ブームに乗るのではなく、寿司やラーメンに並ぶ日本の食文化として発信し、しっかり定着させていきたいです」と世界を目指す石原さん。「イベントだけで発信するのではなく、焼き芋やさつまいもスイーツ、さつまいもアイス、干し芋などを購入できる“さつまいも博365”というECサイトを立ち上げました。また、リアル店舗として試食専門店をオープンさせます。この3つを発信拠点の柱として、日本、そして世界に“さつまいもの食文化”を広めていきたいです」と、大きな野望を抱いていた。
さつまいも博実行委員長
石原 健司さん