2025.03.10(月)

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

こんにちは。「365日焼き芋を食べる熱波師」天谷窓大(あまや そうた)です。

焼き芋とサウナ、一見関係がないように見える2つの領域ですが、意外な共通点があるのでは──。そんな疑問をふと抱き、検証するシリーズ。前回に引き続き、「サウナでおいしい焼き芋は作れるのか?」という疑問の検証実験をお送りします。

 

サウナヒーターでトロトロの焼き芋が完成! ベンチ部分に置いたお芋は……?

今回サウナづくりも手掛ける工務店である大阪府摂津市「花岡工務店」の協力をいただき、サウナの中で焼き芋づくりを検証。サウナヒーターの上とベンチ部分の2箇所にさつまいもを置き、ヒーターを加熱した状態でどのような変化が訪れるかを見ていきます。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

ちなみに前回は、サウナヒーターの上に置いた2Lサイズのお芋が40分ほどでトロトロの絶品焼き芋に。通常の焼き芋屋さんでは最低でも2時間はかかるところ、驚きの速さとなりました。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)
サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

かたや、ベンチ部分に置かれたお芋。人がサウナに入っているのと同じ条件でも焼き芋はできるのか、という疑問を検証するべく始めた実験でしたが、こちらはサウナヒーターとは裏腹に、やや難航気味……。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

実験開始から40分の時点でわずか40℃までしか温度が上がらず。お芋にふくまれる糖化酵素、アミラーゼが活性化する65℃〜80℃には遠く及びません。

うーむ、設定に無理があったか……。

サウナに入った人が熱さを感じるゾーンにお芋を置いてみると……

と、ここで、実験を手伝ってくださった花岡工務店の山中宜明さんが一計を案じてくれました。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

「熱い空気はサウナの上部に集まるので、もう少し高い位置にお芋を持っていけば、もっと温度が高くなるかもしれませんね。ちょっとお待ちを……」

おもむろに工房で木材を切り出す山中さん。端材を使い、お芋をかさ上げするための
ブロックを作ってくれました。

「こうすれば、さっきよりも熱い空気のゾーンにお芋をおけるはず……」

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

人の膝くらいの高さにあったお芋が、人のお腹あたりまで持ち上がりました。
はたして温度にどれくらい変化があるのでしょうか。

<実験開始から1時間後>
ベンチ部分から20cmほど高くしたお芋の温度を測ると、43℃。ベンチの座面部分に置いていたときよりも、温度上昇のペースが上がっているのを確認することができました。

 

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

しかしこれでも65℃〜80℃のアミラーゼ活性化温度にはまだまだ。このペースでは、焼き芋として適温に達するまでに相当な時間がかかりそうです。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

実験開始当初はまだ高かった太陽もいつのまにか傾き、辺りは夕暮れの風景に。さすがに夜まで花岡工務店さんのお時間をいただくわけにはいきません。

なんとか日が落ちる前に結果を出したいけれど、どうすればよいのか……。
サウナヒーターから離れたベンチ部分で焼き芋を焼くのは無理なのでしょうか。

一番熱さを感じる「頭」と同じ高さに持っていったら……

ここでふたたび山中さんがひらめきます。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

「サウナに入っていると、頭の部分が一番熱く感じますよね。このサウナは天井が低いので、ちょうど顔の位置がいちばん熱い空気がたまるゾーンになるはずです。頭の高さまでお芋を持ちあげてみましょう!」

ふたたび工房へ戻り、端材を切り出す山中さん。新たに10個ものブロックを積み上げて、座面から1m強の高さにまでお芋を持ち上げてくれました。

 

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

サウナに入ったとき、まさに顔が来るアチアチゾーン。実際に入っていても、つけているメガネが熱を帯びてかけていられなくなるくらいの熱さです。
これで温度の上昇ペースは相当アップするのでは……!

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

残された時間はもう多くありません。うまくいくことを願って、サウナヒーターを稼働させます。

<実験開始から2時間後>

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ベンチ部分のお芋の温度が69℃に到達。アミラーゼが活性化する温度帯に入りました。明るい兆し……!!

<実験開始から2時間10分後>

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

ふたたび温度を測ると、79℃にアップ。10分で10℃上昇し、アミラーゼが活性化する温度帯の上限に触れました。40分でわずか10℃しか上がらなかったときと比べると、その差は歴然。テンションも上がってきます。頼む! 上がってくれ……!

<実験開始から2時間30分後>

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

温度は約85℃。温度計の針を刺すと「竹串がスッと入る」手応えを感じるようになりました。焼き芋になってきている!!

ただ、まだ芯の部分には若干の硬さが。この状態をキープして、最後の追い込みにかかります。もう一息……!

<実験開始から3時間後>

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

温度は95℃! 前のチェック時に感じた「芯感」はなくなり、温度計の針が容易にお芋を貫通するほどの柔らかさになりました。時間的にも、十分に糖化が進んだとみてよさそうです。

これ以上は時間を延ばせないので、ここで実験終了!
サウナのベンチ部分、人の頭の高さに置いたお芋を下ろします。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

さて、気になる結果は……?

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

ちゃんと焼き芋になってる!!
こちらは前回のサウナストーン加熱のようにトロトロではなく、ホクホクの仕上がりになりました。いい感じ!

こちらも山中さんに試食してもらいます。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

「うん! ホクホクして、上品な甘さ! 同じさつまいもでも、熱の通し方でこんなに味が変わるんですね!」

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

前回のトロトロに仕上がった焼き芋よりも甘さは控えめですが、その分香ばしさが引き立てられて、こちらも絶品。ホクホク系好きにはたまらない味わいになりました。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

ここで現場から戻ってきた職人さんも試食に参加。「すごい! サウナでこんなに美味しい焼き芋ができるんですね!」「自分たちの作ったサウナで焼き芋屋さんも始められちゃうなぁ」と、嬉しい言葉をたくさんいただきました。

サウナでおいしい焼き芋が作れる? ホクホクに仕上がる意外な方法を発見!(後編)

というわけで、「サウナで焼き芋はできるのか?」という仮説、無事立証!!
「サウナヒーターにお芋を乗せると40分でトロトロに」
「サウナのベンチに座り、頭の位置にお芋を置くと、3時間でホクホクに」
という結果が得られました。

人もさつまいもも、サウナで「あまみ」ができる!

そしてこのたび実験にご協力いただいた花岡工務店のみなさん、貴重な場とお時間をご提供いただき、本当にありがとうございました!

お芋好きなみなさん、プライベートなサウナに入る機会があったら、ぜひぜひ焼き芋づくりにチャレンジしてみて下さい!

取材協力:花岡工務店
大阪府摂津市新在家2-1-19
https://www.8702bld.com/