穀物と野菜のいいとこどり! スーパーフード「さつまいも」の栄養価を知ろう
身近な野菜であるさつまいも。さつまいも=炭水化物とイメージする方が多いのではないでしょうか。じつは、骨や歯を形成するカルシウムは白米の7倍、皮膚や粘膜の働きを助けるビタミンCはりんごの7倍、ナトリウムの排出に作用し高血圧を防ぐカリウムはトマトの2倍と、さまざまな栄養成分を豊富に含んでいるのです!
米や小麦のと同じくエネルギー源でありながら、ビタミンやミネラルを豊富に含むことから「スーパーフード」や「準完全栄養食」と言われることも。本記事ではさつまいもの栄養価に着目し、さつまいもを食べるうえで知っていると嬉しい特長をご紹介します!
さつまいもは加熱してもビタミンCを逃さず摂取!
ビタミンCは熱に弱い性質の栄養素だというのはよく知られたこと。たとえば、ブロッコリーはゆでることによってビタミンCの量が140mg→50mgまで減少してしまいます。加熱調理はビタミンCを大幅に失うことになるのです。!
しかし、さつまいもにおいては加熱調理も問題なし! 加熱によってさつまいもに含まれるでんぷんが糊化し、ビタミンCを保護。熱でも破壊されず摂取することができるのです。また、血行促進をサポートするビタミンEも白米、じゃがいもと比べて多く含まれています。!
さつまいもは、抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンC、ビタミンEを同時に摂取できる食材なのです。!
皮はむかずにそのまま食べることで、お肌を元気にするポリフェノールを摂取!2>
さつまいもにはお肌を元気にするポリフェノールも豊富に含まれています。ポリフェノールとは、植物に含まれる苦みや渋みの成分のこと。さつまいもは、表皮から5mmほどの部分に全体量の約80%のポリフェノールが含まれているため、調理する際には皮つきのまま食べるのがオススメ!
また、濃い黄色やオレンジ色の品種はβカロテン、紫色の品種はアントシアニンが豊富。どちらも抗酸化機能を持つ色素で、動脈硬化やがん予防によいとされています。
豊富な食物繊維とお通じを良くする「ヤラピン」が便通改善に!
整腸効果のある食物繊維は、野菜からたっぷり摂りたいもの。成人の1日の食物繊維の摂取目標量は、女性18g以上、男性21g以上とされています。食物繊維の多い野菜と聞いて思い浮かぶのがゴボウ。さつまいもの食物繊維量はゴボウには及びませんが、にんじんやピーマンなどおなじみの野菜よりも多いのです。
日本食品標準成分表2020年版(八訂)より抜粋
また、干し芋にすることで食物繊維量は3.8g→5.9gにアップ! とはいえ、さつまいもは干すことで糖分も増えるため、くれぐれも食べ過ぎには注意です。
少し大きめの焼きいも(約300g)であれば、目標の半分ぐらいは摂取できます。ちなみに、ゴボウ1本が大体250g前後。ゴボウを1人で1本食べるのはなかなか難しいですが、さつまいも1本は焼きいもならぺろりと食べられそうですね。
さらに、さつまいもに含まれる「ヤラピン」と呼ばれる成分は、腸の働きを助ける緩下剤として作用します。ヤラピンは生のさつま芋をカットすると断面から出てくる白い液体。ヒルガオ科の植物に含まれていますが、野菜ではさつまいもだけに含まれる物質なのです! ヨーロッパや南米では、民間伝承薬の下剤として利用されてきた歴史もあります。
まとめ
普段なにげなく食べているさつまいもも、その栄養価をひも解くと穀類と野菜の良い部分を持ち合わせるスーパーフードであることがわかりした。
焼きいもや干しいもはもちろん、味噌汁の具や炒め物など、さまざまな楽しみ方でさつまいもの持つ栄養価を食事に取り入れてみてくださいね!
〈参考資料〉
「ビタミン」e-ヘルスネット 厚生労働省
『からだにやさしい旬の食材 野菜の本』講談社
『最強! スーパーフードサツマイモ』吉本誠
『サツマイモ大図鑑 サツマイモのすべて』大木邦彦
イラスト・デザイン/ayumi ishikawa
ライター/ナカノヒトミ
制作サポート/ヒラヤマヤスコ